新型コロナウィルスが不動産市況に及ぼす影響 2020年3月12日
新型コロナウィルスによる世界経済へのダメージが、今後日本の不動産市場に与える影響を想定してみたいと思います。
一般的に不動産価格は株価から数ヶ月遅れて推移すると言われてきましたが、大型の不動産が証券化金融化したことでより早く金融商品に連動する動きを見せるようになりました。その傾向が顕著に現れたのがリーマンショック後の不動産価格動向でした。
リーマンショック時はとりわけ投資用不動産に対する限定的なダメージでしたが、今回のコロナショックは外資系ファンドの崩壊が招いた金融危機ではなく、生産・流通・消費を停止させ実体経済に大きなダメージを与えてしまった世界的な危機である為、その影響はじりじりと長期的に不動産全体に及ぶと思われます。ダメージの受け方も直接的に受ける物件と間接的に受ける物件に分かれますが、先ずはインバウンド向けに上昇した宿泊施設や店舗物件が先月からまさに直接的な大打撃を受けており、その周辺エリアの地価も日に日に下落しています。間接影響を受ける物件は今後の企業業績悪化に伴う売却物件で、半年後から来年度決算以降にかけて徐々に下落することになると思われます。
富裕層顧客の多くは投機的なキャピタルゲインを狙っておられませんが、長期視点ではこのような世界的危機をむしろ好機ととらえる方も少なくないので日経平均が2万円割れした頃から物件情報の問合せが増えています。この激動の下での正解をお持ちの方は稀ですが、少なくとも今動くのが賢明でないことだけは明確です。ではいつ底入れするのかとの問いにお答えするのも非常に難しいですが、オリンピックの開催可否が今後の日本の不動産市況の命運を分ける可能性は高いです。延期となればむしろリスク回避できますが、開催中止は東京の不動産市場を破壊し、それが全国に飛び火してしまいます。いずれにせよこのひと月くらいの新型コロナウィルス感染状況がカギを握ることでしょう。