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2023年の不動産市場予測

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 2023年の不動産市場動向を予測したいと思います。

 まず重要なことですが、昨年の年初予測に反し不動産市場は1年早く2022年秋に底を打ち始めたということです。

 1年前まではコロナによる影響を中心に市場動向を捉えていましたので2023年半ばに底打ちすると予測していましたが、1ドル140円台に乗せた2022年9月以降、外国人投資家が大阪の不動産を買い始めました。これまで全く想定していなかった為替の影響が浮上してきたのです。現在も調査中ですので不動産市場全体の底打ちとは断定できませんが、少なくとも大阪の中心部つまりインバウンド需要の対象となっていた物件に買い手が戻り出して外国人向け物件は市場から消えつつあります。調査によると動き出した外国人投資家は主にアジア人で韓国、香港、台湾の方が多く、ドル建ての資金が理由かもしれません。昨年はゼロコロナ政策が影響していましたので今年は中国本土の方が増える可能性もあります。もう少し細かく市場の傾向を探ってみますと、コロナが切っ掛けとなりツーリストから移住へのシフトも徐々に進んでいたようです。実際、大阪の不動産協会の会合に出席すると日本語もおぼつかない外国人業者の方に遭遇することがあります。日本でライセンス(宅建免許)を取得するのは住むよりずっとハードルが高いことなので、それだけ外国人向けのマーケットが拡大している証です。

 これは日本の不動産投資に大きなパラダイムシフトが起こっていることを表しています。
不良債権処理の為に欧米ファンドに向けて行った金融との融合では数十億円以上の物件を対象とした受益権でしたが、今回は政府主導ではなくアジア圏の個人投資家所有権を取得しリアルに日本に移住してきたことです。そして5億円以下の物件に間接金融ではなく直接金融で攻め込んで来ているのです。つまり100%融資を目指すサラリーマン大家さんでは到底太刀打ちできない相手です。少なくとも現時点では対象物件が少し違いますのでまだあまり競合していませんが、既に日本法人として実績を積み普通に金融機関から資金調達されているケースもあるので外資かどうかも分からなくなってきています。

 ここでは大胆にも「不動産市場予測」と銘打ってしまっていますが、日本全国の不動産全体を一概に語るのは難しい時代となってきました。投資家を切り口としてエリアや物件種類の視点から「東京都心部の大型物件に投資している欧米ファンド」「地方の小規模物件に投資しているアジア人を含めた個人投資家」という2大カテゴリーに分類したとすれば、ここは後者についての考察といえます。ミクロ不動産とマクロ指標は相性が良くありませんので、FRB政策金利やCPIショック、日銀のYCC(イールドカーブコントロール)などの情報は関西ローカルの不動産には無縁だと思い込んでいましたが、そろそろ考えを変える時期が来たのかもしれません。

 最後になってしまいましたが、肝心の2023年の関西の不動産市場動向は、「上昇トレンドの中での高騰準備期間」だと思われます。なんといっても万博IRが待っていますので。但し、高騰する物件は意外な種類かもしれません。