NEWS

2021年の不動産市場予測

NEWS

 2021年の市場動向を予測する前に先ずは2020年のレビューから始めたいと思います。
 昨年の市場動向予測の際に懸念しておりました新型肺炎(新型コロナウィルス)がもたらすクライシスにつきまして、残念ながら悪い予感が的中し世界経済だけでなく人類に大きな打撃を与えてしまいした。そして今もなお感染拡大が続き収束時期が読めない状態となっております。待ちに待った東京オリンピックも1年延期となりましたが、仮に今年開催されたとしても期待どおりの経済効果は得られないでしょう。また発足時は比較的支持率が高かった菅政権も新型コロナへの不十分な対応で支持率が急落しており、日本の経済は昏迷状態に突入しつつあります。
 今から思えば2012年12月から7年8ヶ月続いた第2次安倍政権は不動産市場に対しそれなりの貢献をしたように思えてきました。収益物件の利回り水準をみても2013年頃から昨年に至るまで10%を切る低水準となっており市況の好調さを表しておりました。コロナ禍に入ってからも金融不安が無い分、商業不動産以外は現在も一定のレベルを維持しており、今のところ不動産市場に与えた影響は限定的なものとなっております。
 しかしバブル崩壊やリーマンショックを思い返せば、金融市場不動産市場の双方に影響が表れるまでに1年~3年を要しています。例えば日本のバブル崩壊期間は1991年3月から1993年10月までと定義づけされていますが、地価公示価格は2005年に至るまで10年以上下げ続けました。※『ウィキペディア(Wikipedia)バブル崩壊』参照
リーマンショックでは2007年にサブプライムローンが崩壊し始め、1年後にリーマンショックを引き起こしましたが、日本の不動産市場に影響が浸透するまで2年以上かかりました。※『ウィキペディア(Wikipedia)リーマンショック』参照
 すなわち、きっかけが金融であれ不動産であれ、また新型コロナウィルスであれ、影響を実感するまでに2年程はかかると想定するのが自然でしょう。コロナショックで株式市場は一時的に暴落しましたが既に高値更新しており金融市場は直接的な損失を被っていないように見えますが、多額の財政出動で国家財政を圧迫しています。不動産市場に対しても、飲食店舗を軸とする商業不動産やインバウンド向け物件、宿泊施設等に壊滅的な打撃を与えてしまいました。これらの負担が多重的にのしかかるタイミングが今年から始まるかもしれません。そうなれば、今は好調な物流施設やレジデンスへの投資にも影響が出るでしょうし、コロナで打撃を受けた業界の淘汰が進み金融機関にも多大な影響が出ると思われます。そして光が見え始める頃には2023年になっていてもおかしくはありません。これらの予測は天気予報での雨雲や寒波の接近注意報と同じようなものであり、投資家の皆様にも事前に備えて頂く為の参考になれば幸いです。

 当社のサイクル理論では今年は始まりの年と位置付けておりますので、2021年の市場動向予測としては、新型コロナウィルスによる影響が本格化する年であり新たなサイクルのスタートである元年としてまとめさせて頂きます。